「党派性」の何が問題か?

党派性とは「主義・主張などが特定の党派に偏り、それに固執すること」である。

選挙期間ともなると、SNS含めネットでは党派性を帯びた言説が目立つようになってきた。

 

客観性のない発言がネットで飛び交うのは選挙中に限ったことではないが、この期間は政治運動に駆られたせいで、信用の乏しい発言が多くなっている印象を受ける。

では「党派性」の問題は何か。

おそらく、ひとつの主義・主張に偏っていることそれ自体が問題なのではなく、「自らの論理を検証する態度」に問題がある。具体的には、自らの論理を反証するロジックや事実を提示された時における、以下の5つの態度が問題なのだろうと思う。

  • そもそも検証をしない態度(思考停止)
  • 結論ありきで検証をする態度
  • 検証の過程で事実を捻じ曲げる態度
  • 自らの論理に誤謬があることを認めない態度
  • 持論に固執する態度

これらの態度で対話をしたところで議論は成立しない。民主政治においては致命的だ。さらにこれらの態度は公共圏の議論における「真実」や「客観性」を危険さらす。公共圏における議論が機能しなければ的確な政治批判はできないし、誤った政策を支持してしまう可能性がある。また自らの主義・主張が絶対的なものとなり、態度がさらに硬化・激化していく可能性もある。

 

 

ちなみに党派性がより激しくなっている背景には、ネット上で自分の主義主張と違う言説に触れる機会が増えた、というのがあるだろう。脳科学的には、その人の政治的価値観を否定する発言を聞かされた時には、捕食者に襲われた時と同じ脳の部分が反応すると言う研究もある。Which brain networks respond when someone sticks to a belief? | USC News